国立西洋美術館のコロー展

本日は閑話休題という感じで、目の肥やしのために観てきた展覧会について。


上野の国立西洋美術館コロー展をやっていると知り、いそいそと出掛けてきました。上野界隈はご存知の方も多いと思いますが、学術、芸術、あやしげなエリア、庶民の方々のお住いが、比較的狭い地域に渾然一体となっている珍しい地区。人の様々な方面のパワーが発散されていて非常に興味深いところです。そのパワーを凝縮したようなところが上野恩賜公園。家族連れ、様々なグループ、つがい、独り歩きの人、何をやっているのか見ただけでは分からない人たちが、広い公園の中を散策、たむろ、徘徊しています。そんな雑多な力が飛び交う亜空間の一画にあるのが国立西洋美術館ですが、久方ぶりに行ったみたいと思わせるのがこのコロー展です。


※ジャン=バティスト・カミーユ・コロー(Jean-Baptiste Camille Corot, 1796年7月26日 - 1875年2月22日)


“靄の画家”と呼ばれるコローは風景画が有名というイメージがあって、風景画が好きなわたくしとしては殆ど飛びつくような勢いでいった企画展です。昔々、大学時代だったと思いますが、写真が好きな人に、風景画が好きだと言ったら「写真がある。わざわざ絵に描くことはない」と言われたことがありました、、、ううううん。。。これは好き嫌いや優劣の是非を論ずる以前に、「その時代、写真なんぞありませんぜ!」……と言いたくなったものです。風景写真は、「その人の感性が切り取った“ある瞬間の結晶”」と考えていますが、風景画は「その人の魂に一度取り込まれた風景が、その人の感性によって再現された世界」だと思うので、優劣ではなく、表現方法が違うだけ、と思うのですが。


とまあ、それは置いておいて、コロー展です。
どうすればこんなに明るい、異様な静寂を感じさせる世界を描けるのかと鳥肌が立つ思いで観覧しました。重要なモチーフだと思われる木々の描き方の何と豪快で、しかし繊細なことか。。。森の香りと湿った下草の匂いさえ立ち昇ってくるようです。生活の近くにある泉、川、平地と、そこにたたずむ人物が描かれた絵は、あの時代の生活と時間の流れと空気の味が感じられて言葉もありません。このみずみずしさのため、靄の画家と呼ばれるのでしょう。特に代表作『モントフォンテーヌの想い出』という絵はその真骨頂。また、この絵は、その頃に浸透し始めていた日本趣味(ジャポニズム)の影響が見て取れるとか。。。


※『モントフォンテーヌの想い出』


ところが、実はびっくりしたのが彼の人物画。
わたくしめの勉強不足か、人物画=コローというイメージが稀薄で、どんなものだろうと思って観たらびっくり。特に最も感銘を受けたのが『青い服の貴婦人』。80cm×50.5cmの大きさで描かれた……というより創造された絵は息を呑む美しさです。解説には、「コローの人物描写の頂点に位置する」と書かれているのも納得。それと『水浴するディアナ』も、恥じらうようにうつむき、身体をなぞる微妙な曲線を見せるディアナはエロスそのもの! 絵そのものが光っているようで、まぶしいばかりです。そして、わたくしの人物画感銘記の掉尾を飾るのが『真珠の女』。コローの代表作とも言われ、「コローのモナリザ」と呼ばれている作品です。画家が住んでいた家の近くの織物商の娘ベルト・ゴールドシュミットという少女をモデルにしたというのが有力な説だそうで、少女は木の葉の冠を着けていますが、額部分の飾りが真珠のような輝きを放っているために『真珠の女』と呼称されるようになったようです。


    

※左から『青い服の貴婦人』『水浴するディアナ』『真珠の女』


で、ミュージアムショップで買い求めたのは『青い服の貴婦人』。絵自体は1,000円でしたが、簡単な額装をしたいと思い、吉祥寺のロフトでフレームを買いました。さっそく絵をはめ、すさんだ部屋が花咲いたようになりました。本当なら画集を買いたかったのですが、カード払いは不可と言われたので諦めました。上野駅の公園口から美術館までATMがなくて余り持ち合わせがなかったのが災いしたようです……とはいえ、画集は入場券がなくても入れる場所にあるので折りを見て買いに行こうかなと。


やはり“本物”に触れるのはいいですねえ……

福岡3 『Cable Car』

魚を食べた後、友人2人は別の友達と合流するため離脱。
金曜日の夜、皆様ご多忙なご様子です。


わたしは友人行きつけのバーへ連れて行ってもらいました。
Cable Car という非常にしぶいバーで、かなり暗めの照明が、カウンターの向こう側に並んだボトルを絶妙なコントラストで浮かび上がらせています。普段はとても静かとのことですが、本日は金曜日の夜ということもあってか、ボックス席はかなりの賑わいです。世界中のお酒が並び、もちろんカクテルも自由自在、お客さんの気分や好みを訊いて仕上げるという技ももちろん兼ね備えているバー。こういう店を吉祥寺でも探しているのですが、なかなか、、、とはいえ、1人でバーに行ってもお店の方としゃべるわけでもなく、ずっと本を読んでいるので余り意味がないかも知れませんが。



マスターを始めとするスタッフの方々の距離感がいい、という印象です。
近すぎず、遠すぎず。疎でなく、密でなく。
基本的なことかも知れませんが、非常に大切なことだと思います。



このバーで面白いのは大きなロウソクが乗った蝋のオブジェ。てっぺんで静かに炎を揺らすロウソクの、今まで流れ落ちた蝋が幾重にも重なって鍾乳石のようになっています。ところとごろ剥げているのはお客さんが取っていってしまうからだとか。確かに、触って感触を確かめたくなります。暗めの、かなり照度を落とした落ち着いた店内に面白いアクセントを添えています。



そうそう。それから忘れてはいけないのは、音楽。
面白かったのは、「ルパン三世」の曲をアレンジしたジャズCD。
チャーリー・コーセーのエンディングテーマがこんな風に聴こえるとは!
ちなみにわたくしのカラオケのオハコ……ですが、実はこれしか歌えません。


友達と、そしてお店の人と盛り上がり、お店を出たのは3時半でした、、、

ふ、不覚。。。

masatomo-s2008-06-20


本日は門前仲町で飲んでて中野経由で帰るはずが、中央線が信号トラブルで大幅遅延、、、


20分くらいホームにいます。友達からは絶対タクシーがいいですよ!、、、と言われながら電車を待ってます。。。


福岡記をアップする予定が、また明日に、、、


よく止まりますねえ、中央線。悲しいです。。。


*し*

福岡2 『魚末』


中1日空けてしまい、失礼しました。


水炊きをいただいた後、中洲の屋台の通りを歩いてみました。これが有名な!……という感慨ですが、友人が言うにはこれからますます人が多くなるとか。まだ9時半なので、序の口で、飲みのシメにここに来る人が多いので日が変わる頃はかなりの混雑だそうです。中洲を歩きながら、友人もわたくしも、二次会で合流するそれぞれの知り合いに連絡をし、結局、天神の『魚末』という魚がおいしいと評判の居酒屋で合流することに。


「大名」という渋い名前の街にある『魚末』は、友人が教えてくれるに、いつも満席で大賑わいだとか。玄界灘で獲れた魚をメインに出している店で、新橋なんかにあったら通いそう。。。せめて吉祥寺にもあって欲しいですねえ……ここでお互いの友人と合流して4人で酒盛りです。


「とにかくこれを食べろ!」ということで頼んだのが「ゴマサバ」。サバをゴマで和えた小鉢ですが、おおおおお! この魚が生前に泳いでいた海の潮の味がする!……噛めばその弾力に驚きますが、これは素材が新鮮そのものだからでしょう。続けていただいた鯛も貝も、まず驚くのは歯に伝わってくる、歯を押し戻そうとする力。ぷりぷり……というとよく使われる言葉ですが、言い得て妙です。魚料理で大切なのは、日本人だからそう思うのでしょうが、素材を活かして、味付けはシンプルに、、、だと思いますが、それを地で行く感じです。3つとも、潮の味と香りがします。きっと他の料理もそうなんでしょう。


 

※ゴマサバ


※あげまき貝


※ツボ鯛のみそ焼


ところで、ここのビール、生大と生小しかないのが驚きです。普通なら生中があって、生小か生大のどちらかと思うのですが、ここは小か大のみ。生中をガンガン飲みたいヤツは大にしとけ、と言わんばかりなので、「大」を飲みました。。。減りません、、、飲んでも飲んでも足されてるような気がして、見る見るお腹が丸くなっていくのを為す術なく見守るだけでした……


昔、パスタのおいしさに感激したイタリアだかどこかの大司教が、「胃袋が1つしかないのはどうしたことだ!」と嘆いたそうですが、わたくしもそんな心境です。こういう時に牛みたいに4つ胃袋があれば、1つは水炊き、1つは魚……と計画的にお腹を膨らますことが出来るのに、1つしかないために乱脈なことになってしまい、より一層メタボな夜を呪うことになるのです。。。


でも、まだ博多の夜は終わりません。

オフ会、、、

本来なら引き続き福岡の記事を上げるべきなのですが、ここは以前から話題に上っている
大阪オフ会のご連絡をさせていただきます。詳細は下記の通りでございます。


日時:7月12日(土) 18時30分 (予定)


場所:『ポルトガリア』(ポルトガル料理)/大阪市北区西天満4-12-11 
                         プラザ梅新別館1F
      ※地下鉄御堂筋線淀屋橋」または各線梅田駅
      ※詳細は http://www.portugalia.jp/ にて


目的:ブログをきっかけに知り合ったことを喜び、
   人生は一期一会ではなく縁は一生続くことを確かめ合う。
   ブログに書き込んでいただいている分量の最低10倍は語る(叫ぶ)。


備考:というわけなので、わたくしめのブログでコメントをいただき、
   なおかつお互い掛け合いをしていただいたほうがいいのかなと。
   ですので、これから、という方、どんどんお願いします!



申し訳ありません。
また明日以降、福岡記を上げさせていただきます。
決して手を抜いたわけではありません!……


もしご質問等がある方はこのブログでもお書き込みを。
また shiraiwa.m@gmail.com へ。


よろしくお願いします!

福岡1 水炊き料亭『博多 華味鳥』

masatomo-s2008-06-17


初の九州である福岡・博多の記録。
やっとアップすることが出来ます。何回かに分けて、訪れたところ時系列で書いていきたいと思います。
是非お付き合いを。


金曜日、打ち合わせが終わった後に友人に連れて行ってもらったのがここ「水炊き料亭『博多 華味鳥』」。中洲にある水炊きがおいしいお店とのことで楽しみにして入りました。いつもすぐ満席になるとのことで予約をしておいてくれたのですが、我々が通された3階は黒を基調とした渋い雰囲気。既に大勢のお客さんで賑やかです。



注文したのは<博多・華味鳥 水たき> 。最も基本的なコースなのでしょうか。最初に出てきたぶつ切りを鍋で温めるのですが、そこから出てくるダシをいただくのが決まりとかで飲んでみましたが、なるほど!……これだけをアテにお酒を飲めそう。。。鳥から出てくるダシの芳香も味も知っているはずなのですが、ここで飲むダシは何とも言えない未知の味が。舌に触れただけなのに口の中全体にふわりと広がる感じです。頬の裏や舌の裏に当たると、脳や目の後ろまでこの芳醇さにやられて身体の力が抜けてしまいます。ちなみに、このスープ、鶏コラーゲンとカルシノンアンセリンを豊富に含んでいて健康と美容に大変いいとか。




その後、切り身、肝、つくねと野菜とゆっくりコースが進みます。この弾力がありつつも素直に食べられる柔らかさ、馥郁たる自然を感じさせる優しい味は瞠目もの。てきばきとよく気付く店員さんが、それぞれの鶏肉を順序よく入れてくれるのですが、その間に飲むダシは、これだけで立派な1つの料理、といったところです。シメとして出て来た卵雑炊は何をか言わんやの世界で、最後に楽しませてくれるのが、まだ鶏になっていない卵とは。



天と地と水……食べ物のおいしさの源はこれに尽きるのだろうと思います。ここの鶏の味の素晴らしさ、これから行くお店の数々の料理、翌日から訪れるあちこちに散在する神社、その移動の間に見られる豊かな自然……九州で様々な神話が生まれた理由が分かったような気がします。


※画像は華味鳥のHPより

東京メトロ 副都心線

masatomo-s2008-06-16


乗ってみました。明治神宮前→新宿3丁目。
開通したのが6/14の土曜日。開通したてのほやほやの地下鉄に乗るのは初めてです。


何でも月曜日は初のラッシュを経験とかで朝から大混乱。朝にさっそく35分もの遅れが出たまま、その遅れを取り戻せないうちに夕方に突入したので、更に大変なことになったりと、散々なスタートとなったようです。わたくしが乗ったときも、前の急行がまだ新宿3丁目の駅にいるとかで急ブレーキ。前に電車がいる際に徐行運転をすることはよくありますが、急ブレーキはちょっと記憶がありません。課題は山積のようです。


とはいえ、渋谷→新宿→池袋→埼玉方面が乗り換えなしで行ける利便性はたいしたもので、うちのオフィスのスタッフもその便利さはすごいと喜んでいました。だいたいうちのオフィスは表参道で、新宿や池袋に乗り換えなしでいくことは出来なかったのですが、副都心線明治神宮前の駅に明治通り側から入れるので、表参道駅よりは遠いものの、殆ど1本で行ける感覚。これは大きい。


この路線の開通で渋谷や新宿はいいものの、池袋は危機感を感じているとか。この3都市はそれぞれ特色があって様々な商業施設がありますが、埼玉方面から1本でつながった渋谷、新宿はますます人が集まるようになるそうです。更に人が多くなるのかとうんざりしてしまいますが、池袋は「ヤバい」と思っているようです。この地下鉄が開通したことで、それぞれの地域同士の戦いが勃発しているのだとか……


それから、東武線、西武線、JRといった鉄道各線も焦っているようです。和光市方面から渋谷、新宿に向かうには1度池袋で降りてから山手線に乗るなどするしかなかったのが、始めから地下鉄に乗っていればいいわけなので、もともとのお客さんをごっそり持っていかれることになります。私鉄各線、JRは2〜3割の収入減を覚悟しているそうです。


しかし、はたと考えました。
この路線、プライベートで乗ることってあるんだろうか……南北線三田線みたいに、多分乗らないんだろうなと考えたりもします。吉祥寺辺りから渋谷や新宿に出てしまえば山手線があることだし、、、景色が見られるし、料金も安いですしね、JRのほうが。山手線の混雑が多少緩和されるだけでもいいのかなとは思いますが。綺麗な駅と車両は気持ちいいですし。


また機会を見つけて乗ってみたいと思います。