ユークリッド原論

今年の冬に買いました。
聖書の次に世界中で読まれたという《数学の聖書》。



※エジプト中部のオクシュリュンコスで発見された『原論』の断片。紀元100年ごろの作。図は『原論』第2巻の命題5に添えられたもの……らしいです。(ウィキペディアより)

英語ではユークリッドギリシア語ではエイクレイデスと呼ばれる数学者が書いた数学書の金字塔とされています。『原論』は全13巻。最初の6巻は初等平面幾何、次の3巻は数論、10巻目は無理数論、最後の3巻は立体幾何学で構成されているのですが、わたくめが買った『ユークリッド原論』は、その原論を現代風の言い回しにしたギリシア語からの翻訳本です。


※これが買った本



もちろん、読むだけでは分からないのでノートに書いて勉強することにしました。1ページずつ作図をしたり式を書いたりしながら進むも、中高と数学が悲惨だったのでかなり苦労します。それでも、初等平面幾何というだけあり、最初は難しいというより懐かしい、という感じ。相変わらず前に進まず第1巻で四苦八苦している箇所は、三角形の合同,定規とコンパスによる作図,平行線の性質などの後,ピタゴラスの定理で終わる、お馴染の言葉と証明が並んでいます。その前に出てくるのが定義,公理,公準。次のようなものです。


【定義】

1 点は部分をもたないものである。
2 線とは幅のない長さである。
3 線の端は点である。
4 直線とはその上にある点について一様な線である。
5 面は長さと幅のみをもつものである。

※自明として受け入れられる性質を公理(axioms) または共通概念 (common notions)とよび,要請あるいは仮定されるべき性質を公準(postulate)とよんでいる.


【公理】

1 同じものに等しいものは互いに等しい。
2 等しいものに等しいものを加えれば,また等しい。
3 等しいものから,等しいものを引けば,残りは等しい。
4 互いに重なり合うものは互いに等しい。
5 全体は部分より大きい。


公理 1,2,3 は次のような演算のルールを述べていることなります。



これもお馴染ですね。。。
で、続き。


公準

1 任意の点から任意の点へ直線を引くこと。
2 有限な直線を連続的に直線に延長すること。
3 任意の点を中心とする任意の半径の円を描くこと。
4 すべての直角は互いに等しい。
5 直線が2直線と交わるとき,同じ側の内角の和が2直角より小さいなら,この2直線は限りなく延長されたとき,内角の和が2直角より小さい側において交わる。


これらを使って、例えば『1.与えられた有限な直線(線分)の上に等辺三角形をつくること』から始まり、『2.与えられた点において与えられた線分に等しい線分をつくること』などの例題が出てきて、それらに作図法、証明法が書かれていきます。これを舐めるように、問題から解答から図形まで、漏らさず書き写す、ということを断続的に続けています、、、が、この勉強法は、高校入試の数学でやった方法、、、もうこれ以外に数学の点数を上げる方法がなくて、やむにやまれずとったのでした。有効だったのかどうだったのか、成績はかなり上がりましたが、、、


このユークリッド原論が、ギリシア数学の粋であり、後代の数学者たちに多大な影響を与えたという大著……
それを味わうにはまだまだ読み込みが足りないようです。。。


そうそう。
高校時代の数学の授業で、証明問題を解く時(スムーズに解けた試しは殆どありませんでしたが)、証明の最後に Q.E.D. と入れた方もおられるのでしょうか? 「証明終わり」という意味で入れていたと思いますが、これは『かく示された(Quod Erat Demonstrandum)』という意味のラテン語の略。ユークリッドの証明の最後に必ず『これが証明すべきことであった』という一語がありますが、この言葉が派生したのでしょうか、、、


この本……この世界の構造の重要な一柱を書き記しているようです。
時間が出来たら、久しぶりに格闘してみましょう。。。