福岡10 太宰府天満宮

今回の福岡旅の最大の目的地、太宰府天満宮
学問の神様、菅原道真公を御祭神とする、説明の要もない有名な神社。



6/15はあいにくの雨でしたが、お宮さんにお参りする場合はこれも粋な舞台装置みたいなもの。しっとりと降る雨の中、景色はけぶるようで、由緒ある建物の群れは水気のために黒っぽく沈んで見えます。こんな天気なのに大勢の人たちで賑わっている辺り、さすがメジャーリーグ級の神社。九州の代表としての名に恥じない盛況ぶりです。


しかしながら、この太宰府天満宮、生い立ちはもの哀しさがあります。御祭神の菅原道真公は藤原時平らの陰謀によって筑前国大宰府に権帥として左遷され、903年に死去。その遺体を都まで送ろうとした際、大宰府から外れた所で牛車を曳いていた牛が動かなくなったのことですが、それはそこに留まりたいのだという公の遺志によるものと考えたそうな。で、そこに墓が作られ、905年には墓所に廟が建てられた……これが安楽寺天満宮の創始。その後、京では疫病や異常気象など不吉な事が続いたため「道真の祟り」と恐れられたそうで、これを鎮めるために919年に道真公の墓所の上に社殿を建立。これが太宰府天満宮の始まり……とあります。公が優れた学者であったことにより学問の神として信仰されるようになったと。


私が高校入試の勉強に精を出していた少年時代、夏休み前になっても志望校の合格ラインが遥か霧の彼方で、進路指導の先生に「月の方が近い」などと言われていたので、両親に「九州の太宰府何とかって神社にお参りに行けば受かるんで連れて行って」と頼んだ覚えがあります。母親に「神様に頼むなんて10年早い」と言われ、父親に「そんな暇があったら数学の問題を1つでも多く解け!」と一蹴されました。。。ち! この時、ささやかな旅行が実現していれば、20年以上も早く九州上陸という誉れが手に入ったのに。。。



太宰府天満宮には菖蒲池があります。花のことなど門外漢のわたくしでも、雨に濡れて咲く菖蒲たちの美しさには胸を打たれるものがございます。そのほとりにお店が軒を連ねているので、その中の1つに入り、かの高名な梅ヶ枝餅とやらを食べてみることに。わたくしは餅が大の苦手。おまけにアンコも苦手。この2つが一緒になって襲いかかってくるなど論外!……と言いたいところですが、観念して食べてみたところこれがおいしい! う〜ん……餅とアンコに対する認識を改める時でしょうか。。。「小豆餡を薄い生地でくるんだ餅」を鉄板で焼いたものなので、餅そのものの占める割合はさして高くないのかも知れません。それにしても、餅かぁ……



ただし、この餅、梅の味も風味もありません。梅の刻印が薄く押してあるのでこの名前とか。左遷されてきた不遇の道真に、安楽寺の門前の餅屋のおばあさんが、元気を出せと餅を渡したところ、それが道真公の好物になったとか。。。道真公がなくなった後、このおばあさんが餅に梅の枝を添えて墓前に供えたのが始まりとされています……このおばあさん、相当長く生きられたようで。わたくしの場合ならさしずめカツ丼でしょうな。とはいえ、陰謀を企まれるほどの大物ではないし、せいぜい取調室でカツ丼を食べるくらいでしょう……そういえば、よくドラマに出てくる刑事物で、捕まった親父が「カツ丼でも食べるか?」などと言われておいしそうに喰らってますが、ちゃっかり後に代金を請求されるとのこと。。。せこい窃盗で捕まったのはカツ丼なんぞ普段食べられない生活のせいだと思うのですが、そんな親父にカツ丼を勧めるとは刑事たちもワルですねえ。


太宰府天満宮、とにかく存分に楽しみました。
最後に見た大樟はすごかった、、、