masatomo-s2008-02-29


子供の頃にせがんで買ってもらった小さな望遠鏡で月を観た時の感激、というのか驚きというのか……それは今でも忘れられません。5センチ、たった5センチの口径の屈折望遠鏡で接眼レンズ部もプラスチック……足を引っかけるどころか小猫の体当たりでも倒れてしまいそうな望遠鏡を通して観る月の世界ときたら。。。手に取るようにとはいきませんが、大小のクレーター、山や海と呼ばれる地域の地形、欠けている縁の様子など、何時間も夢中になった覚えがあります。


天文にご興味をお持ちの方はご存知かと思いますが、月は未だに謎が多い天体です、、、もっとも、火星も金星もその他の天体もそうなんですけどね、、、月がどうやって出来たのか、今でも完全には分かっていないようです。昔々に、今より大きかった地球に小惑星か何かがぶつかって叩き割られ、宇宙空間に放り出された小さいほうの塊が月になったとか、、、これをジャイアント・インパクト説と呼びますが、確実な理論とはされていないようです。


また、月と地球の大きさの比ですが、母星に比べて大きすぎるのも月の特異性として挙げられます。これは太陽系の『母星・衛星』の関係の中で最も比率が大きく、むしろ『母星・衛星』というより、共通の中心点を回る二重星といったほうがいいようです。衛星としては太陽系で五番目に大きく、巨大衛星の1つに数えられています。


月と地球の距離は384,417.6Km、平均で。人類が辿り着いた現在のところ唯一の天体。満月の時の明るさは−12.7。つまり−12.7等星ということです。軌道傾斜角5.1454°。公転周期27日7時間43.7分……自転周期も全く同じ。。。などなど数値はこれくらいにして、、、


非常に興味深いことに、月が地球の地軸を安定させていると考えられています。もし月がなかったら地軸の傾きは劇的に変化し、それに伴って激しい気候変動が生じて生命が今のように発達出来なかったのではないか、というものです。それに、月の潮汐作用により、主に海洋と海底との摩擦(海水同士、地殻同士の摩擦なども含め)による熱損失から地球の自転速度がおよそ10万年に1秒の割合で遅くなっていると計算されています。また、重力による地殻の変形によって、地球-月系の角運動量は月に移動しており、これにより月と地球の距離は、年約3.8cmずつ離れつつあります。この角運動量の移動は、地球の自転周期と月の公転周期が一致したところで安定となるため、地球-月間の距離はそこで安定すると考えられてます。計算では、約50億年後には地球と月は常に同じ面を向けることが予測されています。


ということは、逆算すればかつては月は現在よりも地球の近くにあって、より強力な重力・潮汐力を及ぼしていたことになります。つまり、強い重力によって、今よりもずっと強い潮汐作用が働いており、そうした潮汐力は生命の誕生や進化に影響を与えていたのではないかと考えられている、というわけです。例えば最初海から出た生物は、意図的に陸上に上がったわけではなく、大きな潮汐作用によって引き起こされた引き潮で、陸地に取り残されたところから進化が始まったのではないか、などと。


そういえば、東京に来てから星空を観ていません、、、というより見えません。実家に帰省するとよく観ますが、昔のようにじっくりと腰を落ち着けて観ることが殆どなくなりました。街の明かりのないところに出掛けていき、地面に寝ころんで夜空を観ると、どうして月にこれだけの伝承や物語があるのか、昔の人々がどうして星座を編んだのか……分かる気がしてきます。


そして、月や惑星や星座を形作っている近傍の星々より遥かに遠く、、、夏の夜空の南にかかる射手座に向けて26,000〜35,000光年ほど彼方に、我らが銀河系の中心部があります。そして、4000億もの星を束ねる銀河の中心には、巨大なブラックホールがあるとされています。


伝承でも科学でも、夜空はたまらなく好奇心をそそる世界のようです。