素数とリーマン予想

この2週間ばかり夢中になって読んだ本に、


素数の音楽』(新潮社) マーカス・デュ・ソートイ著 冨永星訳


というのがあります。「数学の女王」と言われる数論の、極めて基本的かつ極めて難しい素数を巡る物語が綴られた本です。著者はオックスフォード大学数学研究所の教授なのですが、この人の文章もとても悪戯っぽいユーモアがあって楽しめます。古代ギリシアのエウクレイデス(ユークリッド)が「素数は無限にある」ことを証明して以来、素数の全く規則性のない現れ方に魅せられてきた数々の大数学者が挑んできた、手に汗握る“ノンフィクション”でもあります。


数学とはパターンを探る学問だと言われますが、この素数というヤツにはそういったものが全くありません。コイン投げのように、10回とも表が出たからといって11回目が表であると予言することは出来ないのと同様、素数がどのような現れ方をしたところで、次の素数がどこに出てくるのか予想することは出来ません。数の最も基本的な要素である素数が、最も複雑で乱雑な現れ方をしてパターンをとらえられない、、、という現実は、古今東西の数学者たちに150年以上に渡る研究テーマを与えたのでした。


その中で、素数について最も謎めいた研究をしたのがリーマンです。
オルグ・フリードリヒ・ベルンハルト・リーマン。数学史に輝く大数学者の一人ですが、この御仁が10ページの短い論文で発表したのが



において、複素数全体 (s≠1) へゼータ関数を拡張した場合、「ζ(s) の自明でない零点 s は、全て実部が 1/2 の直線上に存在する」というものです。いわゆるリーマン予想と言われるもので、何が何やらよく分かりませんが、この予想が証明されれば、素数に関して一気に謎が解けると言われています。


とはいえ、これは数ある数学の「予想」の中でも最高峰と言われていて、今のところどんな数学者の努力や才能も弾き飛ばされています。クレイ研究所の7つの「ミレニアム問題
のうちの1つで、解いた人(正しいと証明するか、正しくないと証明した人)に賞金として100万ドルが支払われることになっています。


こういったことが書いてある本です。リーマン予想が主軸に据えてありますが、現代で欠かすことの出来ない暗号技術としての素数について書かれていたりして、非常に面白く読むことが出来ます。





また頭痛がぶり返してきました。。。。