ブルックナーの第7番と朝比奈隆/大阪フィル

去年の11月くらいからやたらとCDを買いあさっています。
手当たり次第、というわけではありませんが、恐らく25枚くらいは買っていると思います。まあ、買いあさるというほどではありませんか、、、この程度だと。

ところで、本日は標題の曲について。


アントン・ブルックナー交響曲第7番 ホ長調


1881年〜1883年に書かれたブルックナー交響曲の中でも、最も人気のある曲です。第2楽章を書いている時に最も敬愛するワーグナーが亡くなったのですが、彼はこの楽章を書きつつそれを予感していたといいます。そしてワーグナーの死の知らせを受けた後も書かれ続けたこの楽章の第184小節以下は「葬送音楽」と呼ばれています。第2楽章ももちろんですが、全曲とも見事という他ない交響曲で、60分を超える大曲なのに聴き惚れているうちに終わってしまいます。


で、この曲の


朝比奈隆/大阪フィルハーモニー交響楽団 
     ※1975年10月2日 オーストリアリンツ 聖フロリアン教会のライブ録音


版なんですが、前々から聴きたいと思っててなかなか手に入らず、吉祥寺のディスクユニオンでやっと見つけました。いそいそとアジトに戻り聴いてみたのですが、これは……


非常に柔らかく、非常に深く……何と言うのか、音楽の中にけぶる薄い靄が遥か遠く、無限の彼方にまで広がってるような気がして、めまいがしてきます。手を伸ばせば触れられそうなほどの質感なのに触れることは出来ず、ただ幾重にもなる音の織物に包み込まれるような感じです。


ブルックナーはだいたいどの交響曲も長大で、音のうねりが大しけの海原のように押し寄せてきます。翻弄されるという言葉がぴったりで、分厚い音の中できりきり舞いをしてしまうかも知れません。ところが、ある日突然、濃い霧があッという間に晴れ渡り、目の前に信じがたいほど雄大な自然が姿を現すように、ブルックナーの音楽が《見える》ようになります。ほとんど驚異の体験です。こうなってしまうと、他の指揮者はどう演奏しているのか、同じ指揮者でも他のオーケストラではどう鳴らしているのか、別の日に振られた同じ曲はどうか、、、などと無間地獄をさまようことになります。


それで、どのCDを買えばいいのか。。。
これは謎です、、、どうしたものか。ブルックナー交響曲は、特に第4番、第7番、第8番、第9番は、それこそ古今東西の名指揮者が演奏していて、名盤と呼ばれるものがたくさんあります。カラヤン、シューリヒト(この2枚は持ってます)を始め、迷って迷って仕方ありません。


となると、朝比奈隆氏のブルックナーはいかがでしょうか?……と申し上げる他ありません。
ブルックナーはこの巨匠の得意中の得意のレパートリーで、世界的にも非常に高い評価を得ています。オーケストラは手兵である大阪フィルハーモニー交響楽団NHK交響楽団、東京交響楽団新日本フィルハーモニー交響楽団ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、北ドイツ放送交響楽団などなど、、、やはり迷いますね。。。


とまあ、こんなわけでこれからも迷いながらもちょくちょくクラシックの推薦版を書きたいと思います。
お付き合いいただければ幸いです!


ちなみに、このCDが録音された聖フロリアン教会はブルックナーの故郷がある町にあり、教会オルガニストをつとめた場所です。この教会にあるパイプオルガンは「ブルックナーオルガン」と呼ばれ、この地下に、彼の遺言通り、彼は葬られました。