シュリーニヴァーサ・ラマヌジャン

masatomo-s2008-02-13



本日は数学ネタで。
小学生の頃から算数・数学はカラッキシ駄目でいろいろと悲惨な目に遭ってきましたが、なぜか数学について書かれた本を読むのは大好きです。昨日書いたようにCDをあさる癖も困りものですが、数学を始めとする科学の本をあさるのも癖になっています。その中で一冊。


『夭逝の数学者・ラマヌジャン 無限の天才』
 ※ロバート・カニーゲル著 田中靖夫訳 工作舎


年末年始に鳥取国に帰省した折に読む本がなくなって買った本です。前々からこのインドの若き天才数学者に関心があったのですが、Wikipedia辺りで調べてみるだけでしたので、しっかりと知りたいと思い読んでみました。


なかなか分量のある本で、ラマヌジャンの驚天動地の天才ぶりを示す数式も出てきますので読み応えがあります。言うまでもないですが、彼の芸術的な無限級数の数式、擬テータ関数、「ラマヌジャン恒等式」などなど、まるで宇宙の言葉、一つも理解出来ません、、、


以下は有名なエピソード。


インドからのラマヌジャンの手紙と論文を読み、彼をケンブリッジ大学に招聘した数学者ハーディとの会話。彼は入院中のラマヌジャンを見舞うためにタクシーで病院に向かったのですが、そのタクシーのナンバーが「1729」。


ハーディ
「つまらない数字だった。特に縁起が悪いというわけではないが」


ラマヌジャン
「そんなことはありませんよ。とっても興味深い数字です。2つの立法和として2通りに表せる最小の数字ではありませんか」


12の3乗+1の3乗(1728+1) 10の3乗+9の3乗(1000+729) というわけです。


もちろん突然閃いたわけではないでしょうが、数字の世界に長年親しんできた彼だからこそ昔に発見したこの数字を即座に思い出すことが出来たのでしょう。


これくらいならわたくしにも理解出来ます。。。


イギリスの大数学者たちをして「ラマヌジャンの才能は海より深く、他の追随を許さぬ独創性に満ちていることは何人も疑いえない」「彼の研究結果は独創的な美しさをたたえている。それは神秘と形容するしかない」と言わしめたラマヌジャンですが、故郷インドに帰り、32歳という若さで亡くなりました。


この本は、インドが生んだ大数学者が大数学者になるまでを、もう1人の主人公ハーディと彼らを取り巻く人々、インド、イギリスの慣習や風土、時代の荒波……などとともに記した秀逸な一冊です。数学の白亜の殿堂の正面回廊の列柱に飾られるべき天才の物語です、、、是非ご一読あれ。


これこそ手当たり次第……なのですが、数学を始めとする本を読んで思うことは、数学者、物理学者たちは『自然を記述する言葉』を探しているんだな、ということです。数学にド音痴なわたくしとしては、それらを解き明かそうとする人たちの物語を、優れた本によって楽しみたいと願うばかりであります。