スブラマニアン・チャンドラセカール

masatomo-s2008-02-24



高校時代、器械体操部とともに入っていたのが科学部天文班。もう1つの「班」が無線班だったのになぜ科学部でくくられていたのか未だに疑問ですが、とにかく、天文班に在籍しておりました。もともと鳥取東高校というところに入学して最初に入ったのが科学部天文班で、他のクラブには体育系・文化系を含めて一切考えませんでした(器械体操部は秋ごろに不幸な偶然が重なって入部したところです……)。


ところで、科学部では優秀な先輩たち(優秀すぎる先輩たち)がいて、我々4人の新入生がいて、いろいろな本を引っ張り出してきてあれこれ調べたり、星図を取り出して夏の流星観測の計画を練ったりと、非常に充実した活動をしていました。試験前になると、何しろ試験が多かったので勉強するのですが、先輩たちにいろいろと教えてもらったりして、こちらでもそれなりに充実しておりました。


そんな《研究生活》の中で私が興味を持ったのがスブラマニアン・チャンドラセカール。インド生まれのアメリカの天体物理学者で、20世紀最大の天体物理学者の1人と言われています。1983年にノーベル物理学賞を受賞。受賞理由は「星の構造と進化において重要な物理過程の理論的研究」です。


最も知られているのは、白色矮星の質量の理論的上限値を決めた『チャンドラセカール限界』。白色矮星は太陽くらいの星が最後の爆発をした後に落ち着く状態で、熱を静かに放つだけの小さな星(矮星)です。現時点での太陽は宇宙の中で《その他大勢》といったポジションですが、45〜47億年後には《その他大勢》どころか、誰も気付かない墓標となってしまうようです。


で、こういった星は、自らの質量による重力で収縮しようとする力と、構成物質の電子の縮退圧とが釣り合ってその大きさを保っておりますが、ある程度以上質量が大きいと縮退圧では支えきれないため、白色矮星としては存在できません。その限界質量が『チャンドラセカール限界』です。


チャンドラセカールは、私には訳の分からない式を導き出し、その結果、太陽質量の1.26倍以上の白色矮星は存在しないことを示しました。現在の最新の研究では太陽質量の1.44倍以上の白色矮星は存在しないことが分かっています。ちなみに1.44〜3倍の範囲だと中性子星となり、それ以上だとブラックホールになるとされています。


また、NASAX線観測衛星「チャンドラ」は、彼にちなんで名づけられています。それと、『2001年宇宙の旅』に登場するコンピュータHAL 9000の開発者チャンドラー博士の名も彼にちなんだと言われています。




※画像は「白色矮星 シリウスB(右側の青い星)」の想像図(Wikipediaより拝借……)