寝台特急『出雲』

今では寝台特急の中でも大人気の『サンライズ出雲』しかなくなってしまいましたが、2年前の3月までは鉄道で唯一、東京⇄鳥取・倉吉を乗り換えなしで結んでいたのが寝台特急『出雲』です。夜に乗車地を出て早朝には目的地に着くので、車内でよく眠れてさえいれば、到着してからも元気に動くことが出来ます。よく眠れてさえいれば、というところが曲者なんですけどね。非日常的な感覚と、揺れ具合と、他のお客さんのいびきなどの物音などが相まって、ぐっすり眠るのはなかなか難しかったりします。


  



連結車両はA寝台車とB寝台車。B寝台車は客車2段で、幅は確か1メートル前後。眠る時はシーツを敷いて、枕を置いて横になります。枕元に読書灯がついていて本を読んだりするにはいいのですが、暗すぎ、のような気もします。各寝台はAもBも個室ではなく、カーテンで仕切られているだけ。だからいびき、歯ぎしりは聴こえ放題、本のページをめくる音、食べたり飲んだりする音、着替えの音など、よく聴こえます。うなされて何か叫んだら向こう三軒両隣が「何事だ!」と集まってくるのは必定でしょう。。。


  


ただし、まだ座席で使用している際ですと、同席した人と仲良くなることがあります。それを煩わしいと見る向きもあるようですが、気にしない人ですと楽しい時間となるでしょう。僕も、昼間走る列車だと本を読んだり景色を見たりしますが、夜行列車だと同席者と話をしていたような気がします。


小学生の頃と受験の時に乗った時はまだ食堂車が現役でした。特においしかったという記憶はないのですが、生まれて初めて食堂車に乗った感激で、味などどうでもよかったのかも知れません。後年食堂車は廃止され、その車両はサロン車にかわりフリースペースとなっていたようです。


この寝台特急の乗車率は30%台。う〜ん、これじゃあ採算が合わなくて廃止されても仕方がないのかな……今も走っていたとして、移動料金+宿泊料金=20,000円(確かこれくらいだったような……)で所要時間が10時間って、選択肢の1つとなるかどうかってところですねえ……


飛行機だと羽田→鳥取は、旅割で15,000円前後・正規で30,000円(これは高すぎ!)。所要時間は1時間10分。
バスだと『キャメル号』が東京・浜松町→鳥取で、10,200円。所要時間は10時間30分。
鉄道だと東京→新大阪を新幹線のぞみ、新大阪→鳥取スーパーはくとに乗ったとして18,000円前後、所要時間5時間30分。
東京→上郡をサンライズ出雲を使い、上郡→鳥取スーパーいなばで帰ったとしても23,000円。個室B寝台使用です。で、所要時間は10時間。


寝台特急そのものは、鉄道の高速化に伴ったり飛行機運賃の値下げ、路線拡充などで、日本だけでなくヨーロッパでも廃止傾向にあるようです。日本では、この前、東京⇄大阪を走っていた寝台急行『銀河』がいなくなりました。関西起点の寝台特急も順次廃止されていく模様。寝台特急のエースだった『富士』『はやぷさ』『さくら』といったブランドも、次々と火が消えています。



※寝台急行『銀河』


寝台特急『富士』


こうなったら稚内⇄枕崎を1本で結ぶ日本縦貫寝台新幹線でも企画していただきましょう、JRさんには。2本作ってくださいよ、走らせる場合には。稚内→青森まではいいとして、そこから仙台、東京、名古屋、大阪、岡山、広島、博多と抜ける便はまあ当然ですかね。しかしながら、本企画は青森から秋田、新潟、富山、京都ときて、鳥取(当然ですな)、松江、津和野、下関から博多に抜ける日本海号が目玉ですので、その辺をお忘れなく!


企画書、書きますよ!