ミレニアム問題

masatomo-s2008-05-11


ミレニアムという言葉には、何かしら胸に来る響きがあります。
1,999年から2,000年へと、新しい1,000年紀に入る時なんかには盛んに使われたりして、今では古くなった言葉ではありますが、言葉自体どこか綺麗な響きがあって好きです。ちなみに語源はラテン語で、「mille=千」と「annus=年」をくっつけたもの。もともとは、これまでの世界が終わりを遂げて、キリストが新たな千年間を支配する至福千年期が訪れるというキリスト教千年王国を意味していたもの、とか。


ところで、世にはミレニアム問題というものがあります。正式には『ミレニアム懸賞問題』というもので、アメリカはケンブリッジにあるクレイ数学研究所が発表したものです。この研究所、アメリカの実業家ランドン・T・クレイ氏の発意と資金提供で出来た、数学の発展と、数学を広めることを理念としている機関です。この研究所が発表したのが、「以下に挙げる数学上の未解決の問題を解決した人には100万ドルの懸賞金を支払います」という『ミレニアム懸賞問題』。どれもそれぞれの分野の重要かつ極めて難しい問題だとか……数学の訓練どころか素養さえも皆無な私には、問題の意味さえ分かりませんが、それらは以下のようなもの。


『P≠NP予想』
「計算複雑性理論(計算量理論)におけるクラスPとクラスNPが等しくないという予想」
 理論計算機科学と現代数学上の未解決問題の中でも最も重要な問題の一つ。です。


『ホッジ予想』
複素数体上の非特異射影代数多様体について、任意のホッジ類は、代数的サイクルの類の有理数係数の線形結合である」


リーマン予想』(3/20の記事をご参照ください)
複素数全体 (s≠1) へゼータ関数を拡張した場合、ζ(s) の自明でない零点 s は、全て実部が 1/2 の直線上に存在する」


『ヤン-ミルズ方程式と質量ギャップ問題』
「勝手なコンパクトで単純なゲージ群Gに対してR4乗での量子ヤン-ミルズ理論が存在し、質量ギャップが存在することを示せるか?」というもので、量子色力学(と数学)の未解決問題、、、


『ナビエ-ストークス方程式』
この方程式は流体の運動を記述する2階非線形偏微分方程式流体力学で用いられる、とのことですが、一般解が見つかっていないとか。もし一般解があれば流体の挙動を完全に知る事ができることになるそうですが、未だに一般解は見つからず、そもそも解が存在するのかさえも分からない、とのこと。


『バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想』
楕円曲線E上の有理点と無限遠点Oのなす有限生成アーベル群の階数(ランク)が、EのL関数L(E, s)のs=1における零点の位数と一致する、、、という予想。


そして、『ポアンカレ予想』(「単連結な3次元閉多様体は3次元球面S3に同相である」)は2,003〜2,004年にロシア人数学者グリゴリー・ペレルマンによって解決されました。。。


で、どうやったら100万ドルを得られるか、ですが、Wikipediaでは下記のような説明があります。


「賞金を得るためには、査読つきの専門雑誌に掲載された後、二年間の経過期間を経て解決が学界に受け入れられたことが確認されなくてはならない。なお、P≠NPとナビエ-ストークス方程式については、肯定的・否定的のいずれの解決に対しても賞金が与えられるが、他の問題については、否定的な解決は、それが問題の実効的な解決であるとみなされる場合に限り賞金が与えられる。否定的な解決であっても問題が修正を加えられた上で生き残る場合は、賞金は与えられない」


書いてて調べてまた書いて、頭が痛くなってきました、、、
あ、画像は、この日記を書く際に参考にした本です。
ものすごく面白かった、、、