【旅行記】Vol. 23 プラハ3


 城内を見物するつもりでしたが、本格的には明朝を予定していますので、取りあえずホテルに戻ります。チェックインして、荷物を入れて一休憩です。その後、《マナー・ストラナ地区》に行きました。下町みたいなところで、緩い斜面に多くの建物が見えます。この小高い丘からプラハ城と、川を超えた旧共和国広場の方角を眺めると、非常に美しい町並みが広がっているのが分かります。緩やかな川の曲線に、夕暮れの太陽光が映えています。レンガ色の建物の群がゆっくりと暗くなっていきます。何かしら深い静けさが覆い被さっていく様が、高所から眺めている我々までも飲み込んでいくようです。寒い風が、街をより一層透明に見せています。
 
 
 我々はいま展望台に登っています。小高い山の頂上にある階段だけの展望台です。足下は網の足場になっているので直下が見えます。これは心臓によくありません。階段も吹きさらしで、登る人と降りる人が擦れ違うにも狭くて注意が必要です。足でも滑らせれば新聞に『邦人、転落死。プラハの夕暮れに若い命、散る!』とでも載るでしょう。これは避けたい事態です。
 
 
 そう言えば、チェコに入ってからまだ世界に名だたるチェコ・ビールを賞味しておりません。ビールと言えばドイツ、イギリス、ベルギー、アメリカなどが有名ですが、チェコを忘れることは出来ません。バドワイザープラハ近郊のチェスケー・ヴディヨヴィツェのヴディ……の部分のドイツ語表記の英語読みですし、世界の主流たるピルスナー・ビールのピルスナーはこれもプラハ近郊のプルゼニュの英語読みであります。つまり、現代ビールとでも言うべき世界の多くのビールの発祥の地ということになります。このビールの聖地については後ほど!


 
 そこらのバーに入れば、ちょっと薄暗い店内に幾つか丸テーブルが置いてあります。他の席を埋めているのは地元の人でしょう。席に座れば黙っていてもビールが出てくるところです。解読困難なメニューを見て、適当に頼みます。T氏がクネードリキうまいぜ、というので注文しました。僕はシュニッツェルが食べたかったのですが、メニューにはないようでした(僕が読めなかったのかも知れません)。一応、これでも我々は、それなりの予習をして旅行に臨んだわけです。このクネードリキ、ふかふかの白パンをスライスしたやつとスープと肉片が盛りつけてあります。その白パンがまたうまくて単体でも充分なのですが、肉とスープとの絶妙なバランスときたら!……これは是非現地でご賞味なさることをお勧めします。あれからかなりの年月が経ちましたが、日本でこれにお目にかかるという幸運にはまだ出会っておりません……
 
 
 ビールもクネードリキも満喫した後、カレル橋に寄って帰ることにしました。城ともどもライトアップされているそうで、この気持ちがいい夕べに立ち寄らず帰るのも不粋な気がしたのです。夜のカレル橋とライトアップされたプラハ城は非常に美しい光景です。宝石のついた王冠の美しさです。カレル橋の上では街角の楽団みたいな人たちが譜面に小型のライトをつけてラッパを鳴らしています。物売りの屋台も、数は減っていますが、絵とか小物を並べた台を示して「いらんか、いらんか」と言っています。二人だけの世界に埋没しておいでのカップル諸兄もおいでのようです。こんな風景の中で囁き合えば、広い世界も二人だけのものになろうというものです。

ちなみに、今回は自前の画像がなかったので、幾つかのサイトさんから拝借しました。
ありがとうございます!

※画像等、きちんと作業をし直してから再アップをいたします。
 すみません、、、