『最新天文小辞典』/福江純著(東京書籍)

小学生の頃から天文少年だった……とは何度か書いたかも知れませんが、その頃に買ってもらった口径5cmの屈折望遠鏡を毎日外に出しては、月や木星土星などを観ていました。どれも素晴らしかったのですが、一番感動したのは輪っかのついたおもちゃのような土星です。ほんとに輪が見える!……と父親の手を引っ張って見せた覚えがあります。



さて、中学に上がった時に、標題のような題名の天文学の本を買ってもらいました。それは当時……1983、4年頃……分かっている天文学の用語、現象などが書かれたもので、体系的に宇宙について学べる本でした。頑張って勉強して高校に入った時に、口径10cmの反射望遠鏡を買ってもらった折も、星図でもないのに必ずその本を持ち歩いたものでした。それこそ大学生になるまで離さず持っていた本ですが、残念なことに今どこにあるのか分かりません。。。


で、何が言いたいかと言うと、大学生当時に実家のどこかにしまいわすれたのか既にもうないのか、若かりし頃に体系的に知識を得ることが出来た本が手元から失せて早15年……日進月歩の科学の例に漏れず、天文学についての知見も遥かに増えた昨今、まとまった知識を得る中学時代のような本を持っていないと気付き、買ってみたのがこの本です……前置きが長い!……というお叱りは甘んじてお受けするとして……


この本は、天文一般;星座;太陽系;太陽;恒星;連星;星雲・星団;銀河;活動銀河;宇宙;宇宙開発;宇宙人;物理系;単位、というふうに章が分けられていて、最新用語はもちろん、語源なんかも楽しめたりします。中学時代の“辞典”は大まじめに書かれたものでしたが、こちらはシャレとたまに“科学ではない”用語もあったりします。作者は京大理学部で宇宙物理学を修めた博士号を持つ学者で、現在は大阪教育大学天文学研究室教授。ご本人自身、天文“楽”者を目差しているとのことで、難しい科学の用語もありますが、不思議と楽しく読み進むことが出来ます。さすが“楽”者の面目躍如たるものがあります。



読んでいて、中学時代を思い出しました。何か懐かしい匂いがしましたねえ。その当時の本には、重力レンズやらアインシュタイン・リング、林フェイズや各種取り揃えたブラックホールの面々、インフレーション宇宙など、そういったものは載っていませんでした(多分)。


いい本です!