MIHO OSAWA PLAYS SCHUMANN

masatomo-s2008-02-17


友人のピアニストのCDを買いました。


大澤美穂さんという方で、1度、、、一昨年の冬に下井草のエルミタージュというところでリサイタルお伺いしたことがありました。mixiで知り合った方で、何度かメールなどでやり取りさせていただいていたのですが、お会いするのはその時が初めてでした。美しく気さくな方で、柔らかくかつ力強いシューマンショパンを聴かせてくださったの覚えています。その後、あれやこれやで、何度か東京でも公演をなさっているのを知りながらもお伺いすることが出来なかったのですが、去年の10月についにCDを出されるとお聞きし、発売と同時に買わせていただきました。


このファースト・アルバムはオールシューマンという構成で、シューマンに強い思いをお持ちの美穂さんらしいCDです。ピアノの世界三大名器の一つと言われるベヒシュタインで演奏されたシューマンはとてもとても柔らかく、今まで聴いたことのあるCDと比べても得も言われぬ優しさを感じます。


シューマンの代表作である『子供の情景 作品15』(全13曲)、『森の情景 作品82』(全9曲)、『アラベスク 作品18』、『蝶々 作品2』の全24曲が収められているのですが、名器と言われるピアノの音と美穂さんの才能と人となりが優美に溶け合い、明るく静かな世界がぼんやりと広がっているような気分にさせられます。これが美穂さんの《歌》なのでしょう。


トロイメライ」「アラベスク」のような有名曲などもちろん素晴らしいのですが、例えばあまりなじみのない曲でも、演奏者によって好きになったりすることがあります。今まで聞き流していたような曲がふと耳に引っ掛かり、繰り返し聴くようになることが、クラシックに限らずいろいろなジャンルの音楽であります。初めて聴く曲が素晴らしかったというのも非常な幸運だと思いますが、今まで聴いていたけど素晴らしさに気付かなかった曲が素晴らしいことに気付くのも、それと同じくらい幸運なことだと思います。このアルバムはそういう幸運をもたらしてくれる演奏が詰まっています。


私は、と言いますと例えば『森の情景』の第7曲「予言の鳥」とか第9曲「別れ」など、ん?……と思ったりしています。第一、『子供の情景』や『森の情景』を通して聴いたことがなく、美穂さんがライナーノートで「一般にショパンに対して使われている『ビアノの詩人」という言葉は、深い詩情とロマンの香り漂う音楽を作曲したシューマンの方に、より相応しいのではないかと思われます」と書いておられるように、表現しようとしている世界が詩的に活写される彼の天才と、それを私に気付かせくれた美穂さんの演奏に感動して、今も聴きながらこの原稿を書いています。


またこちらでリサイタルをされるとのことですので、仕事なぞ穴にでも埋め、万難を排して聴きに行きたいと思っています。


このアルバムや美穂さんについてはこちらで詳しくご覧になれます。
http://miho-osawa.com/